.日本語学
(1)日本語学というのは、言語学という「ことばの科学」の基礎をもっています。
 人間が他の動物と違ういちばんの点は、「ことば」を使うということです。あるいは、コミュニケーションの手段としての人間の「ことば」は、他の動物のコミュニケーションの手段とは大きく違うと言った方が、より正確かもしれません。その「ことば」として、人は、生まれ育った環境の違いに応じて、日本語を話すことになったり、ドイツ語を話すことになったりします。人間のことばを研究する学問を「言語学」といいます。ことば一般に関する研究を「一般言語学」というなら、特に「日本語」を研究対象にする学問が「日本語学」であるといえます。 ことばの科学の基礎としての「言語学」を、「言語学概論」「言語学特殊講義」などの科目で学びます。 

(2)ことばにはいろいろな側面があるため、日本語学にもいろいろな分野があります。たとえば、「いぬ」ということばと「いす」ということばとを取り上げると、次のような面を持っています。

@発音は一か所が違うだけであること。
A「いぬ」と「いす」まったく意味が違うが、どちらも「あし」をもっていること。
B「いぬがいる」「いすがある」とは言えるが、「いぬがある」「いすがいる」とは言えないこと。

@は音声・音韻の分野、Aは意味の分野、Bは文法の分野で扱う問題です。 また、これらの分野は相互に深く関係を持ってもいるので、先々どの分野を深く学ぶにしても、他の分野の基礎的な素養は欠かせません。
(3)知識を学ぶだけでなく、考え方も学びます。
 日本語の音声・文法・意味などについて、知識を身につけることと同時に、なぜそういうふうな結論になるのかという考え方、つまり理論的な体系も学びます。たとえば、「きれいだ」ということばについての考え方で、学校文法では「形容動詞」という品詞だとされますが、これを「赤い」などの語と一緒に「形容詞」のなかに入れる考え方もあります。これについて、どちらが正しいかという見方ではなく、どういう根拠に基づいて二つの説が主張されているのかを理解することが大切です。 この(2)(3)の点を学ぶために、「日本語学基礎講義」「日本語学基礎演習」「専門演習」「日本語学1」「日本語学2」「日本語史概説」などの科目が用意されています。なお、日本語での表現能力を高めるために、学生の投稿を中心とする学科誌『GAYA』が毎年刊行されています。

.日本語教育学
 日本語教育学は、日本語を学ぶ/教えるために必要なことを多角的・学際的に追究する学問です。なぜ・なんのために・どうやって・いつ・誰に(誰が)日本語を教えたり学んだりするのがよいのかを、さまざまな方法を使って考えます。
 日本語を学ぶ人や教える人がおかれている社会状況や国際関係についての研究や、異文化コミュニケーションについての研究、言語習得や教授法についての研究、学習心理についての研究、人間の成長・変容についての研究、文化接触と交流についての研究、日本語教育の歴史についての研究、教育研究の方法論についての研究など、人文科学・社会科学の広範囲にわたる分野から、日本語教育に関連が深いものを学びます。日本語に焦点をおいた応用言語学のひとつと考えてもよいでしょう。日本語学、実験音声学・言語学、日本文学、対照言語文化学など、関連する学科の科目でそれぞれの分野の基礎を学ぶ機会がありますが、基礎研究で得られた知見を、学習や教育の現場にどう還元・応用するかを考えるのも日本語教育学の課題です。
 また、教育研修等を通して言語習得や言語教育の現場での課題を知り、自分の実践能力を高めるのも重要な学び方のひとつです。教育研修では、理論と実践の間を往復しながら、広い視野と総合力、問題解決能力を高めていくことによって、日本語教師としての基盤作りをします。
 日本語教師をめざす人、多言語・多文化状況の中での自分の生き方を考えたい人にとって役に立つ学問です。

.選択語学(中国語、英語、留学生のための日本語)
 日本語学科に入学した学生は、1,2年次に選択必修科目として日本人学生は中国語か英語を、また留学生は日本語を履修します。3,4年次では必要に応じてこれらの上級コースを自由に選んで履修することができます。
 日本語学科の選択外国語の特色は少人数制と授業時数の多さです。中国語、英語、日本語のいずれの言語でも1,2年次は必修科目としてネイティブ・スピーカーによる会話の授業、資格試験対策、リーディング、基礎文法、作文などの必修5コースが設置されています。3、4年次では、日本人と留学生の区別や、1,2年次の選択語学の区別を越えて、いずれの外国語も履修できます。例えばプレゼンテーションのしかたや応用言語学を英語で学ぶコースなど、各言語別に高度な運用能力を身につけるためのコースが設置されています。

.リサーチ・スキルズ
 自分の興味のあるトピックについて情報を調べ、発表するスキルを学ぶ、リサーチ・スキル+プレゼンテーション・スキル養成のためのコースです。コンピュータが普及し、情報が容易に入手できるようになった反面、質の高い情報を入手し、それをもとに自分の意見をまとめて発表することが苦手な学生が多く見受けられます。このコースの目指すゴールは、トピックを絞り込み、質の高い情報を収集し、情報源を明示して、自分の意見と区別しながら、聞き手に分かりやすい発表をすることができるようになることです。同時にその過程でデータ・ベースやパワー・ポイントの使い方などコンピュータを有効に活用することも学びます。

.日本文化特別演習1
 海外では日本に関するいろいろな質問を受けることがよくあります。このコースでは日本の伝統文化である能、華道、茶道、日本舞踊などを体験できます。日本が世界に誇る文化を学んでください。また、授業の他に、希望者には夏季休暇中に合宿をして尺八演奏、俳句創作、日本舞踊などを体験できる「スーパー合宿」も用意されています。留学生の参加も多く、寝食を共にして交流を深めることができます。


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